ひかりごけあらすじと三条会ひかりごけの解説

三条会 主宰・演出 関美能留

 

 

難破した船の乗員4人が洞窟に辿り着く。

そこに食料はない。

なぜか生き残った船長が、その生き残った理由によって、裁判で裁かれていく。

船長の最後の台詞は「見てください。よく私を見てください」である。



ここ数年、もともと少なかった劇団員が、次々に辞めていく。理由を考えてみると、私が人を食った話ばかりをしているせいだと思う。三条会では、武田泰淳作「ひかりごけ」を、2001年の上演を皮切りに、国内外で多数上演してきた。舞台設定は学校の教室で、戯曲「ひかりごけ」を授業で朗読しているうちに、男子生徒が女子生徒にちょっぴり性欲を感じつつ、物語世界にいつの間にか巻き込まれていくという演出手法をとった。今回の2012年の上演は、その痕跡は全くないほどに新しいものになっている。私には、痕跡を残さず物事を消してしまう方法は、食べてしまう以外、見つからないのだが、皆様はいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 2007年 ザ・スズナリでの公演 ©内田琢麻
 2007年 ザ・スズナリでの公演 ©内田琢麻